開示請求に係る保有個人情報について、法第79条に基づき部分開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。 |
1 | 「開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合」とは、開示請求について審査した結果、開示請求に係る個人情報に、不開示情報に該当する情報が含まれている場合をいう。 |
| 法第78条では、保有個人情報に全く不開示情報が含まれていない場合の開示義務が定められているが、法第79条第1項の規定により、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合に、部分的に開示できるか否かの判断を行わなければならない。 |
2 | 「容易に区分して除くことができるとき」 |
| (1) | 当該保有個人情報のどの部分が不開示情報に該当するかという区分けが困難な場合だけでなく、区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合も部分開示を行う義務はない。 |
| | 「区分」とは、不開示情報に該当する部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し、「除く」とは、不開示情報に該当する部分を、当該部分の内容が分からないように墨塗り、被覆等を行うなど、加工することにより、情報の内容を消滅させることをいう。 |
| (2) | 保有個人情報に含まれる不開示情報を除くことは、当該保有個人情報が文書に記録されている場合、文書の複写物に墨を塗り再複写するなどして行うことができ、一般的には容易であると考えられる。 |
| | 一方、録音テープ、ビデオテープ、磁気ディスク等に記録された保有個人情報については、区分して除くことの容易性が問題となる。例えば、複数の人の発言が同時に録音されているがそのうちの一人から開示請求があった場合や、録画されている映像中に開示請求者以外の者が映っている場合などがあり得る。このような場合には、不開示情報を容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定する。 |
| | なお、電磁的記録に記録された保有個人情報については、紙に出力した上で、不開示情報を区分して除いて開示することも考えられる。電磁的記録をそのまま開示することを求められた場合は、不開示情報の部分のみを削除することの技術的可能性等を総合的に判断する必要がある。既存のプログラムでは行えない場合は、「容易に区分して除くことができるとき」に該当しない。 |
3 | 「当該部分を除いた部分につき開示しなければならない」とは、義務的に開示すべき範囲を定める趣旨である。なお、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、本法の目的に沿った合目的的な裁量に委ねられている。すなわち、不開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗るか、文字が判読できない程度に被覆するか、当該記録中の主要な部分だけ塗り潰すかなどの方法の選択は、不開示情報を開示した結果とならない範囲内において、当該方法を講ずることの容易さ等を考慮して判断することとなる。その結果、観念的には一まとまりの不開示情報を構成する一部が開示されることになるとしても、実質的に不開示情報が開示されたと認められないのであれば、不開示義務に反するものではない。 |
4 | 開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報が記録されている場合(法第79条第2項) |
| (1) | 開示請求者以外の特定の個人を識別することができる情報について、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、残りの部分を開示しても開示請求者以外の個人の権利利益の保護の観点から支障が生じないと認められるときは、当該残りの部分については、法第78条第2号に規定する不開示情報には該当しないものとして取り扱う。したがって、当該部分は、他の不開示情報の規定に該当しない限り、法第79条第1項の規定により開示することになる。ただし、法第79条第1項の規定を適用するに当たっては、容易に区分して除くことができるかどうかが要件となるので、個人を識別させる要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合は、当該個人に関する情報は全体として不開示とする。 |
| (2) | 開示請求者以外の特定の個人を識別させる要素を除去し誰の情報であるかが分からなくなっても、開示することが不適当であると認められる場合もあることに留意する。 |
| | 例えば、作文などの個人の人格と密接に関連する情報や、個人の未公表の論文等開示すると個人の権利利益を害するおそれのあるものは不開示とする。 |